N.Yamazaki's blog

主に音声合成について思ったことを書いてみようと思います。
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音声合成LSIでイヤホンを鳴らすときの回路(アンプ不要)
音声合成LSI「AquesTalk pico LSI」の出力で、アンプICを使わずにイヤホン(またはヘッドホン)を駆動するときの回路を検討しました。


■考慮すべきポイント
以下のポイントを考慮して設計します。
1. 絶対最大定格を超えないこと
  端子最大電流40mA
  端子電圧:-0.5V以上 Vcc+0.5V以下
2. 出力は出来るだけ大きく
3. 折り返し雑音やPWMキャリア成分の除去はそこそこ

■スピーカーを直接接続すると・・・
時折、AquesTalk pico LSIの音声出力端子(AOUT)に、イヤホンやスピーカーを直接接続している例を見かけますが、LSIを壊す可能性があります。
理由は、イヤホンのインピーダンスが低いため端子最大電流の絶対最大定格を超えてしまうことと、イヤホンのインダクタンスにより逆起電力が発生し、これにより端子電圧の絶対最大定格を超えるためです。
また、圧電ブザーや圧電スピーカーを直接接続する例も見かけますが、これらは駆動側からみるとコンデンサみたいなものなので、これも端子最大電流を超えてLSIを壊します。もっとも、経験上、このような使い方をしてもそう簡単には壊れませんが・・・

■回路図
今回設計した回路図と素子の定数を示します。
回路図
素子定数
Vcc[V] Zo[Ω] R1[Ω] C1[uF] C2[uF] 出力[mW] fc[KHz]
5.0 32 120 3.3 10 2.5 2.5
5.0 16 120 4.7 22 1.8 3.0
5.0 8 120 10 47 0.9 2.8
3.3 32 82 3.3 10 2.0 2.8
3.3 16 82 4.7 22 1.5 3.1
3.3 8 82 10 47 0.8 2.8

折り返し雑音除去用のLPFと、DC成分除去のHPFから構成されるシンプルな回路です。
電源電圧VccとイヤホンのインピーダンスZoをもとに、表から各素子の値を求めます。
ATP3011の音声帯域は4KHz、ATP3012は5KHzなので、カットオフ周波数は3KHz付近に設計しました。
本来なら折り返し雑音だけをカットするために2次のLPFを用いたいのですが、2次の構成ではどうしても音量が小さくなるので、1次のLPFでカットオフを少し下げました。

また、この回路の周波数特性の設計にはイヤホンのインピーダンスを利用しています。そのため、イヤホンのインピーダンスは固定です。もし、使用するイヤホンが変わる場合は、この回路は使えず、別途アンプを使うしかなさそうです。

この回路の音量は、イヤホンのインピーダンスが大きいほど大きく鳴らせます。一般的なアンプを使ったものとは逆ですね。
上に示した定数は音量が最大になるように設計してますが、もし、音量を下げる場合は、R1の値を大きくすればOKです。なお、R1の値を下げるのは端子最大電流を超えてしまうのでNGです。

■左右を並列接続、それとも直列?
市販のイヤホンのインピーダンスは16Ωのものが多いようです。これは片側のインピーダンスです。
左右のイヤホンをモノラルの回路で駆動するとき、通常は左右を並列に接続しますが、インピーダンスが1/2になるので音量が小さくなってしまいます。一方、直列に接続すればインピーダンスは倍になって音量的に有利ですが、左右が逆位相になるのでちょっと気持ちよくありません。しかし、実際のところイヤホンで左右逆位相で鳴らしたとき聴感上はどうなるのでしょう?スピーカーのように空間で打ち消しあうことも無いですし・・・特に問題ないのでしょうか?

■おまけ、ボリューム付き
ボリュームで音量を調整できるようにした回路例を次に示します。
最大音量は、ボリューム調整をしない場合に比べると6db程度小さくなります。
また、カップリングコンデンサ(C2)を前に移して、AOUTから出力されるDC信号成分による電力消費を削減しています。

VR付回路

■最後に
今回の検討は、ICからのPWMオーディオ出力を、アンプを使わずにCRの受動素子だけでフィルタを構成し、イヤホンから音を出すという、そんな一般的な設計にも応用できると思います。

■Link
  N.Yamazaki's blog「音声合成LSI用のオーディオアンプ(再考)」
| AquesTalk pico LSI | 17:26 | - | - |
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